西宮の文学に触れる 第七弾 「勇者たちの伝言 いつの日か来た道」 増山実 

阪急ブレーブス本拠地「西宮球場」 - 未来は、今日の掌の中に‼ -  -
阪急ブレーブス本拠地「西宮球場」
未来は、今日の掌の中に‼
こんにちは。西宮北口 西宮ガーデンズにある内科・糖尿病内科・代謝内科・循環器内科のいわもと内科クリニック 院長 岩本です。

今日紹介するのは、当院がある阪急西宮ガーデンズができる前に、ここ西宮北口に歴然と存在感を示した「西宮球場」が舞台となるスペクタクル小説「勇者たちの伝言」です。主人公は、放送作家の工藤正秋。ちなみに、作者の増山実さん自身も放送作家で、自身の思いが詰まった作品と感じます。確か、本小説の文庫本帯は芥川賞作家の又吉さんが書かれてました。

西宮球場は、現在のプロ野球チーム「オリックス」の前身「阪急ブレーブス」の本拠地でした。「ブレーブ」とは英語で、「勇気・勇者・勇敢に立ち向かう」という意味を表します。この物語は、西宮球場を中心として、かつての阪急ブレーブスの選手たちが登場します。
代打専門だった 高井保弘選手。「昭和39年に阪急に入団、昭和57年に引退。ずっと代打でしたが、現役生活19年の中で、途中3年間だけ指名打者でレギュラーとして出場しました。それがワシの代打人生のブランクですわ」と、代打であることを何よりの誇りとして選手生活を送る。高井選手の座右の銘は「未来は、今日の掌の中に。」「未来なんか誰にも予見できん。何が起こるかは誰にもわからん、そういう世界や。ただ、選手は予見できん未来のために、準備することはできるんや。」と語ります。
何かに誇りをもって、目標をもち、一生懸命になって、最善をつくす。そして前を向いて取り組む姿勢が、我々に未来を見せてくれる。勇気を与えてくれる。
人生には、様々な思い出が残ります。楽しい、嬉しいだけでなく、時には辛く悲しい思い出もありますよね。この本は、「そういった過去の思い出を勇気に変えて、誇りをもって前に進め!」ということを教えてくれます。

過酷な生活をしてきた安子という登場人物が、こう語ります。
「私はそれまで、過酷な現実生活の中で、過去に浸ることは危険なことだと考えてました。しかし、そうではありませんでした。過去の思い出が、生きる力を湧き上がらせることもあるのです。そしてもうひとつ、大事なことを覚えました。誰かの幸せを祈ることで、人は自分自身の苦しみから解放されるのかもしれません。」

人生は、勝ち負けではない。勇者になることが、自分が救われ誰かの幸せにつながることかもしれませんね。

少しでも皆さんのお役になれるよう、勇者になる努力を怠らないで頑張りたいと思います。
いわもと内科クリニックは、「勇者たちの伝言」の舞台にあるクリニックですから、余計にそう思う次第です。

ちなみに、西宮ガーデンズの5階に「阪急西宮ギャラリー」という展示室があり、かつての西宮球場の模型や阪急ブレーブスに関連した記念品・写真が展示されています。もしお時間があれば、当院に来られたついでに見学されることをおすすめします。そして、もしこの本を読んでいない方は、この展示室を訪ねてください。より臨場感あふれる読書になりますよ~

いわもと内科クリニック
院長
岩本紀之