カーボカウント法 インスリン必要量の計算方法

こんにちは。西宮北口 西宮ガーデンズにある糖尿病内科・代謝内科・循環器内科・内科のいわもと内科クリニック 院長 岩本です。

本日は、先日すこしブログで触れましたカーボカウント法について説明いたします。
カーボカウント法は、食事をする際に食事前の血糖値から食事後の目標血糖値を達成するために、どれだけのインスリンを食事前に打てばよいかを以下の2つの数値から計算して投与する方法です。

カーボ/インスリン比(Carbohydorate Insulin Ratio : CIR)→食事のためのインスリン
インスリン1単位でどれだけの糖質を処理できるかを示します。
計算式 CIR=300÷1日総インスリン量(Total Daily Dose of insulin: TDD)
大体の人で10g/Uから開始して、微調整します。
例)
超速効型インスリン 朝食前6単位ー昼食前6単位ー夕食前10単位
持効型インスリン  就寝前8単位 の人の場合
総インスリン量(Total Daily Dose of insulin: TDD)=6+6+10+8=30単位
1日総インスリン量が30単位の人は、CIR=300÷30単位=10となります。ちなみに、
1日総インスリン量が20単位の人は、CIR=300÷20単位=15となります。
1単位インスリンを打つと、10gの糖質が処理できる計算です。食事前にあらかじめ食べる糖質量が分かっている場合は、そのインスリン量を投与すると、理論上4時間後には食事前の血糖値に戻すことができます。しかし、食前の血糖値が300㎎/dLと高値であった場合、4時間後300㎎/dLに戻るだけなので、さらに追加のインスリンが必要になります。それを計算するのに必要なのが、2番目の数値 インスリン効果値(Insulin Sensitivity Factor : ISF)です。

インスリン効果値(Insulin Sensitivity Factor : ISF)→血糖値のためのインスリン
1単位のインスリンで血糖値がどれだけ低下するかを示します。
計算式 ISF=1700÷総インスリン量(Total Daily Dose of insulin: TDD)
大体の人で50mg/dL/Uから開始します。

例)1日総インスリン量が30単位の人の場合
ISF=1700÷30=56.7 mg/dL/Uとなります。
この患者さんが、インスリンを投与する前の血糖値が300㎎/dLだった場合に超速効型インスリンを3単位打ったとすると、56.7X3=170 mg/dL 低下する計算です。よって、何も食べずに3単位インスリンを打ったとすると、
4時間後の血糖値=300-56.7X 3=300-170=130mg/dLとなります。

それでは、最後に練習をしてみましょう。
練習)食前の血糖値が200mg/dLで、コンビニのおにぎりを2つ(おにぎり1つの糖質が40g)を食べて、4時間後100mg/dLにしたい場合。
カーボインスリン比が10(食事のためのインスリン量)
インスリン効果値が50(血糖のためのインスリン量)
①食事のためのインスリン量=おにぎり2つの糖質80g ÷ カーボインスリン比10=8単位
②血糖のためのインスリン量=(200-100 mg/dL)÷ インスリン効果値50=2単位

食前に必要なインスリン量=①食事のためのインスリン量+②血糖のためのインスリン量=8+2=10単位


みなさんいかがでしょうか?
慣れないと難しく感じるかもしれませんが、知っておくと血糖コントロールの強い味方になる知識ですので、是非チャレンジしてみてください。
もちろん分からないことがあれば、受診時に当院スタッフや院長に質問してください。
よろしくお願いします。

いわもと内科クリニック
院長
岩本紀之