西宮の文学に触れる 第四弾 「阪急電車」 有川浩

阪急電車 西宮北口~宝塚 -  -  -
阪急電車 西宮北口~宝塚
西宮北口 西宮ガーデンズにある内科・糖尿病内科・代謝内科・循環器内科のいわもと内科クリニックです。

本日は、多くの方がご存知の小説、有川浩さんの「阪急電車」をご紹介します。

阪急今津線(西宮北口~宝塚)で繰り広げられる人間ドラマで、一人の主人公に焦点をあてた物語ではなく、今津線の各駅や阪急電車内にたまたまいた登場人物が複数絡み合って織りなす心温まる物語です。関西人には馴染みの深い阪急電車。読みやすいし、心地が良いし、温かくなれて、おすすめの一冊です。ヒトのとるべき道を諭され、自分の行動を振り返り正す行動規範を示すバイブルとしても良いかもしれません。
みなさんは、どの登場人物がお好きですか?
私は、時江さん(お孫さんといっしょに犬をつれて電車にのっているおばあちゃん)です。
元婚約者の結婚式に白いウエディングドレスのような衣装で出席し討ち入りをしたOL女性の翔子が電車に乗ってきて、お嫁さんが電車に乗ってきたーとはしゃぐ孫に一言。「お嫁さんは電車になんか乗らないのよ」と孫を諭し、翔子に対して「良かったら、私に話してみない?気持ちが軽くなるかもしれないわよ。」と声をかける。
別の場面では、電車内マナーを守らない関西のおばさま方を撃退。暴力をふるう彼氏をもつ女性に「泣くのはよい、でも自分の意思で涙をとめられる女性になりなさい」と一言。そして、女性はDV彼氏と別れる覚悟を決める。

この小説の中に、「人生の機微」という表現がでてきます。表面では伝わりにくい微妙なことを有川浩さんは表現するのが本当に上手いと思う。大変失礼ながら、有川浩という名前から当初は男性作家だと勘違いしていました。実際に処女作である「塩の街」は、私が所属していた陸上自衛隊の話。そして映画化された「図書館戦争」。読んでいて、まったく違和感がなかったのですが、阪急電車を読んだときに、「えっ!?こんなに繊細な表現や女性の心を巧みに記述されている方が男性なの?」と思い、調べてみたら女性作家であったことが判明。この場をお借りして謝罪をさせていただきます。大変失礼いたしました。しかし、この事実を知ったときは、納得とともに、逆に違和感なく自衛隊三部作や図書館戦争を作られた有川浩さんはすごい!と感銘をうけ、好きな作家さんになった次第です。

続いて、昨日診療をおえて読み始めた有川浩さんの小説「旅猫レポート」を、読み終えたのですぐにご報告したいと思います。

いわもと内科クリニック
院長
岩本紀之