西宮北口 糖尿病週間① 世界中の糖尿病患者を救ったインスリン発見物語

糖尿病の最大の貢献者たち - ベスト(左)糖尿病犬マージョリー(中)バンティング(右) -  -
糖尿病の最大の貢献者たち
ベスト(左)糖尿病犬マージョリー(中)バンティング(右)

西宮北口 西宮ガーデンズにある内科・糖尿病内科・代謝内科・循環器内科のいわもと内科クリニック院長 岩本です。

今日は、糖尿病を知るために毎年世界中で行われている世界糖尿病デーについてお話したいと思います。

世界糖尿病デーは1114日。1921年、今から約100年前に血糖値を下げるホルモン「インスリン」を発見したカナダの科学者フレデリック・バンティング(写真 右)の誕生日です。写真左の人物は、チャールズベスト。バンティングとともに一夏の休暇の間だけ、研究を行い、インスリンを発見した大学院生です。バンティングは、後に『ノーベル生理学賞』を受賞しますが、ベストの功績に敬意を表し受賞金額を分けたといわれています。残念ながら、ベストはノーベル賞の受賞は受けていません。その変わり、当時の研究室責任者であるマクラウド教授がノーベル賞を受賞していますが、これには裏話が存在します。

マクラウド教授は、自分の部下であるバンティングの実力をみくびっていました。イギリスの田舎出身の外科医に、当時、多くの内分泌医が躍起になって研究していた血糖値を下げるホルモンを発見することはできない。マクラウド教授は、そう思っていたのです。バンティングは、マクラウド教授に研究室を使わせてくれるように懇願します。しかし、それは受け入れられなかった。ただしバンティングの情熱は、尋常ではなかった。あきらめずに何度目かの交渉の際に、マクラウド教授が夏期休暇の8週間だけ研究室を使う許可を得たのです。たった8週間です。その2か月で、バンティングとベストは、インスリンの発見に至ったのです。ミラクルもあったと思うのですが、ふたりの糖尿病患者への思い・情熱があったからこその偉業だったと思います。

写真真ん中の犬は、バンティングとベストによって発見されたインスリンを投与された糖尿病モデル犬で、名前を『マージョリー』と言います。

現在、世界の糖尿病人口は4億人を超えていると試算されています。日本でも1000万いて年々増加しています。

100年前、たった2か月のたった二人の研究者とマージョリーのおかげで、現在多くの糖尿病患者さんが命を救われています。しかし、まだまだ多くの糖尿病患者さんが、適切な治療を受けずにいて、糖尿病合併症などで残念な結果に陥っています。

糖尿病は、適切な治療をうければ健康な人と変わらない人生を送ることができます。また糖尿病は自覚症状なく進行していることも多い疾患です。その意味で、定期的な検査をうけることをおすすめいたします。

バンティングとベスト、そしてマージョリーに敬意を表して、当院でも糖尿病 健康フェアイベントを実施予定です。お楽しみに!