1型糖尿病の病態と糖尿病における心不全 2019内科学会②

こんにちは。西宮北口 阪急西宮ガーデンズにある糖尿病内科・循環器内科・総合内科・代謝内科・生活習慣病・健康診断のいわもと内科クリニック 院長 岩本です。

GWを使って内科学会に参加しました。目的は、最新情報獲得とこれまでの知識の復習です。糖尿病では、1型糖尿病が免疫機能異常によっておこること、特にインターフェロン治療やノーベル賞受賞て脚光を浴びた癌化学療法に用いられる免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病発症の可能性があることが発表されていました。今のところ治療においては、1型糖尿病の方にはインスリンが絶対適応です。将来的には、再生医療の発展により治療方法も変わるがもしれません。1型糖尿病は、発症の仕方によって劇症型(数日で発症)、急性型(3ヶ月程度)、緩徐進行型(数ヶ月から数年)に分けられますが、遺伝子解析の結果、タウリンを作る律速酵素が原因で発症様式にも変化が生まれる可能性が示唆されているそうです。今後さらなる解析がすすめば、糖尿病発症予防にもつながるかもしれません。夢のあるお話でした。
また、糖尿病と心不全の講演も勉強になりました。糖尿病があると心不全の発症リスクが2倍になるそうです。理由は、心筋梗塞による心臓の収縮不全とともに、拡張不全が高頻度に生ずるためだそうです。心不全合併の糖尿病患者さんの治療戦略はまだ確立途中で標準的(一般的)治療がなされているのが現状です。そんな中、心不全という観点から糖尿病治療薬で注目すべき薬が3つ紹介されていました。一つは最近注目されているSGLT2阻害薬です。尿中に余分な糖を捨てることによって、血糖値を下げてくれるお薬ですが、心不全だけでなく腎症の悪化を予防する可能性が2019年4月に発表されました。糖尿病治療薬であるとともに、心不全、腎症にも使用でき、とても期待の高い薬剤です。あとは、腸管での血糖吸収阻害剤であるαGIに心不全のマーカーであるBNP低下効果が認められること、また添付文書では禁忌になっていますがメトホルミンに心筋アポトーシス抑制作用によりが認められ、心不全予防効果があることがSU薬と比較して報告されています。
いずれにせよ、糖尿病とともに生きていらっしゃる患者さまにとっては、心臓を守るための治療がとっても大事であることがわかります。循環器専門医も有した院長が、その辺はしっかりとサポートいたします。

西宮市深津町7-21 阪急西宮ガーデンズ別館1階
いわもと内科クリニック
糖尿病・代謝内科・循環器内科・内科
院長
岩本紀之