インフルエンザの流行時期はいつ? 「泣き叫ぶ5歳の女の子・喉が痛い‼」激務当直時の素敵な思い出
西宮北口 西宮ガーデンズにある内科・糖尿病内科・代謝内科・循環器内科のいわもと内科クリニックです。
最近、高熱や咽頭痛の症状の患者様が、少しずつ増えてきました。
国立感染症センター2017年インフルエンザ流行データによると、全国的な流行開始時期は、11月20日ごろとなとっていました。2018年の西宮における最新データでは、まだほとんどインフルエンザはでていません。
インフルエンザの場合、他の風邪ウイルスと異なり、激しい悪寒や関節痛・筋肉痛をともない、熱もすぐに下がらないのが特徴です。
当院でも2018年11月23日現在、インフルエンザの患者様は一人もいらっしゃいませんが、これから本格的な季節を迎えますので、うがい・手洗いの予防に努めていきましょう。とくに65歳以上の方や心臓・腎臓・肺機能が衰えている方、受験生のみなさまやそのご家族の方々は、インフルエンザワクチンの投与を早めにしておくことがお勧めです。
今年は、既存薬のノイラミニダーゼ阻害薬タミフルやリレンザと異なるお薬が発売されました。1回内服だけで済むインフルエンザ特効薬・ゾフルーザです。この薬剤は、体内に感染したインフルエンザウイルスが、細胞内で増殖することも抑えてくれるという特徴があり、臨床試験では、プラセボ群よりも症状が早く改善することが示されています(キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬という種類に属します)。
それでも良いお薬があるからといって、インフルエンザになりたくないですね~。
しかし、今から10年前、新型インフルエンザが猛威を振るったその年に、思い出に残る歓迎すべきインフルエンザに私はなったことがあります。
その日、日曜日の当直をしていた私は70名以上の発熱患者さんを診察し、そのほとんどがインフルエンザの診断。その中で、一人だけ喉が痛いという訴えをした5歳の女の子が来院されました。よくお話を聞くと、お昼にたべたお魚の骨が、喉にひっかかり、痛くてずっと泣いている、とのこと。どこの医療機関にも断られ、当直をしていた私のところに来院されました。
お母さん曰く、「ご飯を丸呑みしたら骨がとれると思い、何度かやってみたけどダメでした・・・・」。実際、そう簡単に魚の骨は取れません。
当直をしていたその病院には、気管支鏡ファイバーなどの高級な医療機器はなかったので、どうするか考えたあげく、地味ですが耳鼻科用の喉頭鉗子をつかって、直視下で骨を取り出すことにしました。
泣いている娘さんが動かないように、お父さんとお母さんに身体と頭を押さえてもらい、看護師さんには、頑張って口を開けてもらうように歯科用のマウスピースをつけて介助してもらいました。骨が刺さっている痛みと、これから何をされるか分からない不安で女の子はさらに号泣!泣き叫んで飛沫した唾液が、容赦なく私の顔に降り注ぎます。
何度かの挑戦で、骨が直視下で見えることを発見した私は、女の子をなだめながらタイミングを見計らって、「えいっ!」と鉗子をいれて幸運にも骨をキャッチ‼
その後、女の子はピタっと泣き止み、無事にご帰宅されました。
後日、お父さんとお母さんが、わざわざ挨拶に来院されました。私は、その日は病院を不在にしていたので、ご両親にお会いすることができませんでした。対応した病院スタッフは、お礼の挨拶にお伺いしたのかと思ったらしいのですが、お母さんから別の言葉がありました。
お母さん「先日は、娘が喉に骨をひっかけて泣き叫び、大変困っているところを、どこの医療機関にも断られたのに、いわもと先生は快く診察してくださいました。本当にありがとうございました。ところで、先生は大丈夫でしょうか? 」。
病院スタッフ「岩本先生は、本日は不在にしています。お母さまがお礼にこられたことをお伝えしておきますね。」
お母さん「岩本先生が不在の理由は、もしかしてインフルエンザじゃないですか?」
病院スタッフ「なんで、そのことをご存じなのですか?」
お母さん「あの日、娘が泣き叫んでいたので、娘の唾液が、たくさん先生の顔に降りかかったと思うのですが・・・」
お母さん「あの後、娘が熱を出しまして、次の日に小児科に行ったらインフルエンザでした。もしかしたら、岩本先生にインフルエンザをうつしてしまったのではないかと思いまして・・・そのお詫びを申し上げに来た次第です。」
病院を不在にしていたその日、私はインフルエンザとなり自宅休養していました。でも、泣き叫ぶ女の子を助けることができた満足感とインフルエンザワクチンをしていたおかげで症状はとても軽く、久々にゆっくりと快適な休養を過ごすことができました。
お詫びだなんてとんでもない!
5歳の女の子に私が感謝したいくらいでした。
「インフルエンザをありがとう。おかげでゆっくり休むことができました。」と・・・・
とはいえ、やはりインフルエンザは怖い感染症の1つです。重症化リスクの高いかたは、インフルエンザワクチンの投与とともに予防をしっかりとしましょう!
いわもと内科クリニック
院長 岩本紀之